国際貿易の中でも、三国間貿易は複雑な取引形態の一つです。売主、買主、第三国の仲介業者が関与するため、より慎重に書類を管理します。
万が一、インボイスや船荷証券(B/L)、原産地証明書などの書類に不一致が生じると、通関の遅延や余計なコストなどが発生します。
本記事では、三国間貿易における書類の不一致が引き起こす具体的なトラブルと防ぐための対策について解説します。
三国間貿易における書類の不一致による輸送トラブル
まず、輸出者、輸入者、仲介業者の間で情報共有が十分不足によるトラブルがあります。
例えば、輸出者が発行したインボイスと仲介業者が作成したインボイスの金額や品名が一致しないケースなどです。
また、第三国の通関要件に対する理解不足によるトラブルもあります。
例えば、ある国では原産地証明書の発行が義務付けられているにもかかわらず、発行を怠ったために貨物が通関できないなどです。特に、三国間取引では貨物の実際の経由地が不透明になりがちであるため、原産地証明書の適切な取り扱いが求められます。
貿易条件(インコタームズ)により問題が起きることもあります。
例えば、CIF(運賃・保険料込み)での取引を想定していたにもかかわらず、仲介業者がFOB(本船渡し)でB/Lを発行すると、費用負担の取り決めが崩れるなどです。
具体的な問題解決事例と方法
実際に三国間貿易のトラブルを解決した事例を紹介します。
東南アジア×ヨーロッパ向けの輸出事例
ある貿易会社が、ヨーロッパの顧客向けに東南アジアの工場から直接商品を出荷した際、インボイスとB/Lの品名に違いがあったため、税関が貨物の引き渡しを許可しませんでした。このケースでは、速やかに仲介業者と連携し、輸出者から修正インボイスを発行してもらい、追加書類を税関へ提出することで問題を解決しました。事前に書類を一元管理していれば、トラブルを未然に防ぐことができたでしょう。
誤って港へ貨物を運んだ事例
また、ある企業では、貿易条件の取り決めが曖昧だったために、運送会社が貨物を間違った港へ運んでしまうという問題が発生しました。このケースでは、事後対応として関係者全員でオンライン会議を開き、責任範囲を明確にする契約書を作成することで、今後のトラブルを防ぐ仕組みを整えました。
原産地証明書の誤記載トラブル
原産地証明書の誤記載が原因で、関税の優遇措置を受けられなかった事例では、通関手続きのやり直しに時間を要しました。これを回避するために、輸出国の商工会議所と密に連絡を取り、書類の正確性を確保するプロセスを導入することで、今後のリスクを軽減しました。
こうした問題を解決するためには、トラブルが発生した際に迅速に対応できる体制を整え、関係者全員が共通のシステムを利用して情報を管理することが重要です。クラウドベースの貿易管理ツールを活用することで、書類の不一致を事前にチェックし、リアルタイムで修正対応できる仕組みを作るのも有効な手段です。
三国間貿易において、書類の不一致が原因で発生した代表的なトラブルを紹介します。
日本×中国×シンガポール間の取引トラブル
ある日本の商社が中国のメーカーから商品を仕入れ、シンガポールの取引先へ直接出荷するケースでは、仲介業者が誤った価格のインボイスを発行したために、通関で問題が発生しました。輸入国の税関が申告金額と市場価格の差を指摘し、再評価のために通関手続きが大幅に遅れました。最終的に、受取人は余計な税金を支払うことになり、取引関係が悪化しました。
インドネシア×韓国×マレーシア間の取引トラブル
インドネシアの企業が韓国から機械部品を購入し、マレーシアの工場に直送するケースでは、B/Lに誤った輸出者情報が記載されていたため、輸入通関が拒否されました。仲介業者が適切な輸出者情報を事前に確認していなかったことが原因であり、貨物の引き取りまでに大幅な遅延が生じました。
書類の不一致を防ぐための対策
どうすれば、書類の不一致を防げるのでしょうか?
やはり、関係者全員が事前に十分な情報共有を行うことが重要です。特に、インボイス、B/L、原産地証明書、パッキングリストの整合性が重要です。当然、貿易条件(インコタームズ)の取り決めを正しく理解することも重要です。
例えば、CIF条件で取引は、保険証券が適切に発行されているか確認し、FOB条件の場合は輸出者と輸入者の責任範囲が明確になっているかをチェックするなどです。
各国の通関条件を確認すること
各国の通関要件を正確に把握し、それに基づいた書類を準備することが求められます。特に原産地証明書に関しては、事前に輸入国の要件を確認し、必要であれば輸出国の商工会議所などに発行手続きを依頼しておくことが不可欠です。
三国間貿易を実行する場合の最適解
三国間貿易は、少し特殊です。これを実現するときの要が「フォワーダー」です。フォワーダーが書類や輸送などをうまく裁かないと、三者が納得する取引を実現することは難しいです。よって、三国間貿易を実行する場合は、三国間貿易を得意とするフォワーダーに依頼することが何よりも重要です。
同じフォワーダーでっても天と地ほどの差があります。必ず三国間貿易に対応できるのか?を確認するようにしましょう!
例えば、ジャパントラスト株式会社は、日本発着でもない三国間貿易でも非常に対応力があることで有名です。
まとめ
三国間貿易における書類の不一致は、通関遅延や追加コストの発生、取引関係の悪化などの問題につながります。これを防ぐためには、関係者間の綿密な情報共有と書類の正確な管理が欠かせません。特に、インボイス、B/L、原産地証明書の内容を事前にすり合わせることで、リスクを軽減できます。また、貿易条件の明確化や通関要件の事前確認、デジタル技術の活用などによりスムーズな三国間取引を実現できます。