気象条件による貨物破損トラブルと輸入者ができる対策

国際輸送は、様々な気象の影響を受けます。特に、温度や湿度変化、突風によるコンテナの揺れなどが原因となることは多いです。当然、気象の影響を全く受けないことは難しいですが、事前に適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることはできます。

本記事では、気象条件による貨物破損の具体的な事例と、輸入者が取るべき対策について詳しく解説します。

気象条件が原因となる貨物破損トラブル

輸送中の貨物は、予測できない気象条件の変化にさらされます。特に、次の気象条件が貨物破損につながることが多いです。

気象条件と主な破損トラブル例

温度変化による商品劣化

貨物が異なる気候帯を通過する際、気温の変化を受けます。

例えば、冷凍食品や医薬品、化粧品などは、その影響を強く受けます。冬場の寒冷地では凍結のリスクがあり、夏場の高温地帯では、熱による変質や溶解のリスクがあります。

具体例1:温度管理ミスによる食品の品質劣化

ある輸入業者がチョコレート製品を輸入した際、船会社の冷蔵コンテナ設定が適切でなかったため、高温状態が続き、到着時には商品が溶けて変形していました。このケースでは、輸入者が出荷時に適切な温度設定を確認しなかったことが原因

湿度の影響による貨物の損傷

海上輸送では、高湿度の環境が貨物に悪影響を与えることがあります。特に、紙製品や木製家具、電子機器などは湿気を吸収しやすく、輸送中に劣化やカビの発生、金属部品の錆びが生じる可能性があります。コンテナ内の結露も問題となり、内部に水滴が発生すると梱包材が湿って商品が破損することがあります。

具体例2:高湿度による電子機器の錆び

電子部品を輸入した際、コンテナ内で結露が発生し、製品の端子部分が錆びて使用不能になっていました。このケースでは、湿度管理が行われず、吸湿材(シリカゲル)などの防湿対策が施されていなかったことが影響していました。

コンテナ内の結露は意外に大きな問題です。

突風によるコンテナの揺れと貨物破損

海上輸送中、強風や荒天の影響でコンテナが大きく揺れることがあります。適切に固定されていない貨物は、この揺れにより破損します。また、港湾での積み下ろし作業中に強風が吹くと、コンテナが揺れて貨物に衝撃が加わるリスクもあります。

具体例3:突風によるコンテナの揺れで発生した貨物破損

海上輸送中に突風が発生し、コンテナ内の固定が不十分だったために精密機器が荷崩れを起こし、損傷しました。貨物の固定が適切に行われていなかったため、波の影響で大きく動いてしまったことが原因でした。

長時間の直射日光による製品の変色・劣化

ある家具メーカーが木製製品を輸入した際、コンテナ内の貨物が長時間直射日光にさらされてしまい、木材の変色と乾燥によるひび割れが発生しました。特に、黒色のコンテナは内部温度が高くなりやすく、適切な遮光対策がなされていなかったため、製品の品質が大幅に低下しました。

台風や強風によるコンテナの転倒・損傷

港湾で貨物を保管していた際、台風による強風でコンテナが転倒し、内部の製品が大きく破損するトラブルが発生しました。特に、積み上げられたコンテナは風の影響を受けやすく、適切な固定がされていなかったことが損傷の主な原因です。

海上輸送中の波しぶきによる水濡れ損害

ある輸入業者が衣類を輸送した際、海上輸送中に高波の影響でコンテナが一部浸水し、商品が水濡れ被害を受けました。このケースでは、防水対策が不十分だったため、ダンボールが水を吸収し、中の衣類にまで影響を及ぼしました。

輸入者ができる貨物破損防止対策

輸入者は、輸送中の気象リスクを考慮し、事前に適切な対策を講じることが重要です。

1.適切な温度管理と冷蔵コンテナの利用

温度管理が必要な貨物を輸送する際には、リーファーコンテナ(冷蔵・冷凍コンテナ)を利用し、温度設定を事前に確認します。輸送中の温度を記録するデータロガーを設置することで、万が一トラブルが発生した際の証拠として活用することも可能です。

  • コンテナ内に防湿剤(シリカゲルや乾燥剤)を設置する
  • 防水シートで貨物を保護する
  • 防湿梱包を採用し、気密性の高い包装を施す

2.湿度対策の強化

湿度による影響を防ぐためには、以下のような対策が有効です。

  • コンテナ内に防湿剤(シリカゲルや乾燥剤)を設置する
  • 防水シートで貨物を保護する
  • 防湿梱包を採用し、気密性の高い包装をする。

3.貨物の適切な固定とラッシング対策

突風や荒波による貨物の移動を防ぐため、貨物をコンテナ内で適切に固定します。主な固定方法は、次の通りです。

  • ラッシングベルトを使用して貨物を固定する
  • エアバッグクッションを挟み込み、貨物の移動を防ぐ
  • パレット梱包を行い、輸送時の安定性を向上させる。

まとめ

国際輸送では、温度変化、湿度、突風などの気象条件が貨物破損の原因となることが多いです。輸入者は、適切な温度管理、湿度対策、貨物の固定、貨物保険の加入などを行うことで、これらのリスクを軽減できます。事前に対策を講じることで、安全かつ確実な国際輸送を実現しましょう。

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