知らないと危険!輸入差止申立制度と認定手続とは?

日本には、特許や商標などの知的財産権の侵害を防ぐ仕組みがあります。それらの具体的な制度として存在するのが「輸入差止申立制度」です。この制度を利用することで、権利者は自らの知的財産権を保護し、模倣品や違法な商品の流通を防げます。なお、輸入差止申立をするに認定手続があります。

本記事では、輸入差止申立制度の概要と認定手続について解説していきます。

輸入差止申立制度と認定手続

輸入差止申立制度とは?

輸入差止申立制度は、知的財産権(特許、実用新案、意匠、商標、著作権など)の侵害を防ぐために、権利者が税関に申し立てる仕組みです。税関は申立を受理すると、該当する貨物が輸入される際に、内容を精査し、侵害の疑いがある場合は、輸入を差し止めます。

例えば、有名ブランドのバッグや時計、電子機器などです。

但し、輸入差し止め申立制度は、他者の権利を制限することになるため、後の手続きで権利者としての権利が認められない場合は、逆に販売機会の損失による訴訟リスクを負うことになります。

輸入差止申立の手続き

輸入差止申立を行う場合は、税関に対して正式な申立をします。申立の際、権利を証明する書類(特許証や商標登録証など)を提出し、対象となる模倣品の特徴を詳しく説明します。さらに、税関職員が識別しやすいように、正規品と偽造品の違いを明確に示すサンプルや画像を添付なども必要です。

申立が受理されると、税関は該当する商品が輸入されるたびに確認し、模倣品と疑われる場合は権利者に通知します。その後、権利者と輸入者の間で協議が行われ、必要に応じて裁判所での判断が下されることもあります。

認定手続の流れ

輸入差止申立と認定手続は、以下の流れがあります。

  1. 申請書の提出:権利者は税関に対して輸入差止申立の申請書を提出します。この際、特許や商標などの権利を証明する書類を添付が求められる。
  2. 税関による審査:提出された申請書をもとに、税関は権利の有効性や対象となる商品の特徴を審査する。
  3. 税関の判断:審査の結果、輸入差止が適用されると判断された場合、該当する貨物が輸入された際に確認される。
  4. 輸入差止の実施:模倣品の疑いがある場合、税関は輸入者に通知し、必要に応じて貨物の差し止めを実施する。
  5. 最終判断と処分:権利者と輸入者の間で協議が行われ、解決が難しい場合には裁判所での判断が求められる。

企業がこの制度を活用するメリット

輸入差止申立制度を適切に活用することで、企業は知的財産権を守り、不正競争を防げます。特に、ブランド価値の維持や市場の信頼性向上に大きく貢献します。また、偽造品が流通することで生じる売上の損失を防ぐことができるため、長期的なビジネスの安定性を確保する上でも重要です。

さらに、この制度は、消費者の安全性にも有効です。

例えば、粗悪な模倣品が市場に流通すると、消費者が品質の低い商品が流通し、ブランドへの信頼が損なわれる可能性があります。しかし、輸入差止申立を行うことで、こうしたリスクを未然に防ぎ、安心して正規品を購入できる環境を整えられます。

輸入差止申立制度のデメリットと法的リスク

この制度は強力な知的財産保護の手段です。

しかし、万が一、誤った活用をすると、思わぬ法的リスクを負うことがあります。

例えば、何の権利も有さないにも関わらず、デタラメに申し立てをするなどです。認定手続き(差し止め申立)は、他者の権利を著しく制限する行為であるため、法的に筋が通ってないと莫大な損害賠償を負います。

不当競争防止法違反のリスク

その他、競合他社を市場から排除する目的で輸入差止申立を行った場合、不当競争防止法違反と判断されることがあります。「正当な知的財産権の行使」として認められなければ、逆に権利濫用とみなされ、罰則を受けることがあります。

裁判費用や法的手続きの負担

申立後に輸入者が異議を申し立てた場合、裁判に発展することがあります。その際の弁護士費用や手続き費用がかさむことがあり、負担が大きくなる可能性もあり!

税関の対応にばらつきがある

すべての税関が迅速かつ的確に対応できるわけではなく、申立の審査や実際の差止措置に時間がかかることがあります。

まとめ

輸入差止申立制度は、知的財産権の侵害を防ぎ、企業や消費者を守るための強力なツールです。適切な申立と認定手続を行うことで、偽造品の流通を防ぎ、正規品の市場価値を維持することが可能となります。知的財産を保護し、健全なビジネス環境を確保するために、この制度を積極的に活用することが推奨されます。

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