物流や輸送の場面でよく使われる20ftおよび40ftコンテナ。これらのコンテナの積載量や費用の計算をするときに「M3」「CBM」の言葉を目にします。
「どのサイズのコンテナにどれだけの荷物が積めるのでしょうか?
特に、初めてFCL(フルコンテナ輸送)やLCL(混載輸送)を利用する方にとって、20フィートコンテナや40フィートコンテナの容量感は非常につかみにくいものです。
本記事では、それぞれのコンテナに積載できる荷物量の目安や、積載効率を上げるコツなど、実務で役立つ情報、20ftおよび40ftコンテナの積載量(m3)、20や40フィートには何パレットはいるのか?について解説していきます。荷物の大きさから、コンテナの残容量を計算できるツールも公開しています。
20FT・40FTコンテナの積載量・M3(CBM)とは?
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M3とは、荷物の大きさを基準とする単位です。
- M3のM=mを表す。
- M3の3=縦、横、高さの3方を示します。
例えば….
- 縦、横、高さがそれぞれ1mの貨物は、1M3です。
- 縦、横、高さが30cm、20cm、30cmは、0.018M3です。
一辺がメートル以下の場合は、メートル換算にしてから計算します。上記2の場合なら、0.3m×0.2m×0.3mです。最後は、その貨物が何個あるのか?を計算します。
例えば、一つの貨物が1m3。これが10個なら10m3です。一つの貨物が0.018m3、これが100なら1.8m3です。
m3とcbmは同じ意味?
結論から言うと、「m3」と「cbm」は基本的に同じです。どちらも立方メートル(cubic meter)の略称であり、1m × 1m × 1mの立方体の体積を示します。つまり、1m3(1立方メートル)=1cbm(1cubic meter)です。
m3は数学的・物理的な表記として広く使われる一方で、cbmは特に国際物流や貿易の場面で頻繁に使用されます。例えば、輸送書類や見積書などでは、貨物の容積を「cbm」で記載することが一般的です。
物流業界でのm3とcbmの使い分け
物流業界では、次のようにm3とcbmが使い分けられることが多いです。
-
- m3(立方メートル):数学・物理の分野や、技術的な計算で使用される。
- cbm(キュービックメートル):貿易・物流の業界で使用され、輸送書類や見積書などに記載される。
M3の計算方法 m3から重量を計算した物が容積重量
上記のm3から重量を換算した物が容積重量です。
容積重量は、1m3=1000kg
例えば、10m3なら、1000×10=容積重量は10トンです。1.8m3なら、1000×1.8=1.8トン
一方、貨物本来の重量が実重量
一方、貨物本来の重量を実重量と言います。実重量とは、仮に重量計に貨物をのせたときに表示される貨物本来の重量です。
例:重量計に貨物をのせたら100kgが表示→実重量が100kg
では、この容積重量と実重量は、どのような関係があるのでしょうか?
コンテナ輸送(LCL)における容積重量と実重量は、料金を決める上で重要です。
- 実重量
- 容積重量
上記2つを比較して、より重い方を輸送料金に基準とする決まりです。M3の計算は、実は、輸送料金にも関係してくるのですね!
M3が最も関係するのはLCL輸送
M3が最も関係するのがLCL(コンテナ未満輸送)です。実は、コンテナ輸送(FCL)、コンテナ未満輸送(LCL)をするときは、到着した港で貨物を引き取る際、様々な諸費用がかかります。(アライバルノーティスに記載される。)特にLCLの場合は、この費用がM3を基準に計算されます。
例えば、M3が1.4の貨物を輸入。
- CFS.D CHARGE 3980円
- T.H.C.(¥) 1600円
- DRAYAGE RECOVERY SURCHARGE 800円
などの費用あるとすると、以下のように計算します。
- 3980円×1.4=5572円
- 1600円×1.4=2240円
- 800円×1.4=1220円
LCL輸送においては、M3の値は非常に重要です。なお、3980円、1600円の部分は、フォワーダーにより大きな差があります。悪徳フォワーダーに騙されないためにも、必ずフォワーダーの選び方を理解しておきましょう!
M3を計算してみよう!
例えば、以下の場合、M3はいくつになるのでしょうか?
- 貨物の縦、横、高さが10cm、20cm、50cm
- 上記の貨物が10000個ある
- 上記の貨物の実重量は200kg
まず貨物単体のm3を求めます。0.1×0.2×0.5なので0.01ですね。次にそれが10000個あるので、0.01×10000を計算します。すると、100kgです。これが容積重量です。
但し、実重量が200kgなので、この貨物は、実重量200kgを基準にして料金がきまります。
20FTコンテナ・40FTコンテナの積載量
20フィートコンテア、40フィートコンテナの最大積載量は、以下の通りです。
- 20フィート=33M3
- 40フィート=67M3(実際は、55M3が限界)
実際は、パレットなどによるデッドスペース、国内陸送における最大重量の関係から、上記の最大値まで積載することは難しいです。
デッドスペースとは?(ボイドスペース)
デッドスペースとは、貨物を積載するパレットと呼ばれる機材によるできる「利用できない空間」です。国際輸送では、このパレットの上に貨物を積むことで、貨物への積み込みや取り出しが容易にできるようにしています。
しかし、当然、パレットの分だけ積載できる空間が減ります。これがデッドスペースです。
一般的にデッドスペースは、コンテナの容積の最大値の10%~20%は発生すると言われています。よって、最低限、コンテナ容積の最大値の0.8かけなどをしておかないと、バンニングの際、「パレットに入りきらなくてお困る~」などの状況に至ります。
参考情報:IBCコンテナ(Intermediate Bulk Container)の積載量は?
IBCコンテナは、液体や粉体を輸送・保管するための大型容器です。標準的なIBCコンテナは1,000リットルの容量があり、パレットサイズ(通常1,200mm × 1,000mm)に収まる設計になっています
- IBCコンテナの積載可能数:最大18~20基(横2列×縦3列×高さ3段)
- 総容量:約18,000~20,000リットル
- 総重量の目安:IBC 1基あたりの重量は約1,100~1,200kg(内容物による)

コンテナの最大容積に対してデッドスペースを考慮することが重要(10%~20%)
荷物の種類別・積載量の目安
コンテナに何がどれだけ積めるかは、貨物の形状や梱包状態によっても変わりますが、いくつかの目安を知っておくと検討がスムーズになります。
例えば、段ボール箱(60サイズ、約33×20×15センチ)の場合、20フィートコンテナにはおよそ1,000箱、40フィートコンテナには約2,000箱が積載可能です。中型バイクの場合、20フィートで4~6台、40フィートで8~12台が目安となります。また、ソファやベッドなどの家具類は、40フィートコンテナで1LDK分の家具をまるごと輸送することも可能です。
200リットルのドラム缶であれば、20フィートで約80本が標準的な積載量となります。
パレット単位で考える場合、日本のJISパレット(1.1メートル×1.1メートル)を使った場合、20フィートには10枚前後、40フィートには20枚前後が無理なく積載できます。荷姿によって多少前後するため、実際には事前のレイアウト設計や現物確認が望ましいです。
コンテナの積載量(積載数)の計算ツール
積載する荷物の大きさ(3タイプ)から、総重量と容積重量を算出し、コンテナの残容量を計算できるツールです。無料で使用できます。ご自由にご活用ください。
箱1~箱5の入力する欄を設けています。必要な分だけご入力ください。入力した数値を基に自動計算し、20フィート、40フィートの残積載量を表示しています。
コンテナの積載量(積載数)の計算方法の詳細説明
デッドスペースを考慮した上でのコンテナの積載量を計算する手順は次の通りです。
- コンテナの内部寸法を調べる。
- 内部寸法からコンテナの最大積載容積を計算する。=何M3入る?
- 2番の最大M3に0.8等をかける=これが実際に積載できる数
- 商品の体積を計算する。(商品の長さ、幅、高さを乗算)。
- 3番を4番の値で割る=積載できる量がわかる。
貨物自体の形状等の影響も考慮するべし!
但し、上記の計算は、綺麗な直方体の貨物を整列させた場合の理想値です。貨物の形状が特殊な場合は、当然、その分だけ積載スペースが小さくなります。
20フィートや40フィートコンテナには何パレットはいる?
ボイドスペース(利用できないスペース)を考慮した上で、20フィート、40フィートには、それぞれ次の枚数のパレットが入ります。
- 20フィート:9枚前後
- 40フィート:18枚前後
積載効率を高めるための工夫と注意点
単に「入るかどうか」だけでなく、「いかに効率よく積むか」も重要です。パレット積みかバラ積みかで積載量は大きく変わります。パレット積みは荷扱いがしやすい反面、パレットの厚みや隙間によって容積効率が落ちます。一方、バラ積みにすれば多くの荷物を積める可能性はありますが、積み下ろしに手間がかかり、荷崩れリスクも高くなります。
さらに、貨物の重量バランスも無視できません。片側に重量が集中した状態で積み込むと、トレーラー走行時のバランスが崩れ、事故や積み替えが必要になるケースもあります。積載時は上下・左右の荷重バランスを考え、耐荷重パレットの使用や補強資材の活用が効果的です。
梱包方法も積載効率に影響を与える重要なポイントです。段ボールのサイズを統一する、スタッキング(積み重ね)可能な仕様にする、スペーサーを減らしてデッドスペースを抑えるなど、小さな工夫の積み重ねが全体の積載効率を大きく左右します。
また、ラッシング(貨物固定)や荷崩れ防止資材の使用も重要です。これにより輸送中の動きを抑え、安全性と積載効率の両立が可能になります。
バンニングソフトの活用もお勧め!
定期的に貨物の積み込み(バンニング)がある場合は、バンニングソフトを導入すると良いです。
EasyCargo
- 概要: 直感的なユーザーインターフェース、ドラッグ&ドロップで簡単に積載プランを作成
- 特徴: 3D表示、積載最適化アルゴリズム、多言語対応、クラウドベース。
CargoWiz
- 概要: 多機能でコストパフォーマンスに優れた積載ソフト。さまざまな輸送モードに対応。
- 特徴: 3Dシミュレーション、複数コンテナ対応、パレット積載計画、コスト計算機能。
CubeMaster
- 概要: 高度なアルゴリズムを使用し、積載効率を最大化するソフトウェア。
- 特徴: 3D積載プランニング、積載レポート生成、複数の積載シナリオ比較等
PackApp
- 概要: コンテナやトラックへの積載を効率化するためのシンプルなソフトウェア。
- 特徴: 多言語対応、積載効率向上、積載プランの共有、直感的な操作。
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