不適切な梱包が引き起こす貨物破損と輸入者が取るべき対策

国際輸送では、貨物が適切に梱包されていないと、輸送中に破損するリスクが高まります。特に、薄いダンボールの使用や緩衝材の不足、パレット梱包の欠如などは、貨物破損の主な原因です。

本記事では、梱包ミスによる破損、梱包破損と対策について解説します。

不適切な梱包が引き起こす貨物破損の主な原因

国際輸送では、貨物は長時間にわたって移動し、複数の輸送手段(トラック、船舶、航空機)を経由することが多いため、耐久性の高い梱包が必要です。しかし、不適切な梱包が原因で貨物が破損するケースがよく見られます。

海上輸送時に梱包が破損する主な原因

海上輸送中に貨物の梱包が破損する理由はいくつかあります。波の影響による船の揺れが大きな要因となります。貨物はコンテナ内で固定されていますが、長時間の揺れにより摩擦や衝撃が発生し、梱包が損傷することがあります。また、貨物の積み方やコンテナの取り扱い方法によってもダメージが生じることがあります。

湿気や温度変化

さらに、湿気や温度変化も梱包破損の原因です。コンテナ内は密閉されていますが、航路によっては湿気が多い地域を通ることもあり、内部の結露によって梱包が弱くなり破損しやすくなります。特に木箱や紙製の梱包材を使用している場合、水分による劣化が問題になることがあります。

その他、以下の原因もあります。

薄いダンボールを使用する。

薄いダンボールは、輸送中の衝撃や荷重に耐えられず、簡単に潰れることがあります。特に、コンテナ内で他の貨物と積み重ねられる場合、圧力によってダンボールが破損し、中の商品が損傷を受けるリスクが高まります。

緩衝材が不足している。

貨物の隙間に適切な緩衝材が入っていないと、輸送中の振動や衝撃によって荷物が動き、破損につながります。特に、ガラス製品や精密機器のような壊れやすい商品では、適切な緩衝材が不足していると致命的なダメージを与えます。

パレット梱包を実施していない。

パレットを使用せずに貨物を個別に積み込むと、輸送中の取り扱いが困難になり、フォークリフトやクレーンでの移動中に損傷が発生しやすくなります。また、貨物がバラバラに配置されると、安定性が損なわれ、コンテナ内で荷崩れが起こるリスクも高まります。

具体的な貨物破損3つのトラブル事例

ダンボールの強度不足による破損

ある輸入業者が食品を輸入した際、輸出者がコスト削減のために薄いダンボールを使用して梱包していました。その結果、コンテナ内で他の貨物の圧力に耐えられず、ダンボールが潰れて内部の商品が破損しました。輸入者は貨物受け取り時に問題を発見しましたが、輸送中の破損として補償を受けることができず、損失を被ることになりました。

緩衝材不足による精密機器の破損

精密機器を輸入した際、十分な緩衝材が使用されていなかったため、海上輸送中の揺れによって貨物が動き、内部の電子部品が破損、輸入者がサプライヤーに補償を求めたが、インコタームズの契約条件の関係で補償を受けれなかった。

パレット未使用による荷崩れ

ある化粧品メーカーが海外から液体製品を輸入した際、貨物がパレットに載せられておらず、個別に積み込まれていた。輸送中の振動で荷物がコンテナ内で動き、箱が崩れて液漏れが発生しました。この事例では、事前にパレット梱包を指定していなかったため、輸出者側がコスト削減を優先し、適切な梱包を行わなかったことが原因でした。

梱包破損時の責任の所在

貨物の破損が発生した場合、その責任が誰にあるのかを明確にすることが必要です。一般的に、以下の条件に応じて責任が決まります。

1.荷送人の責任

荷送人(輸出者)が適切な梱包をしていなかった場合、貨物が破損しても輸送業者に対して補償を求めることは難しくなります。貨物の種類に応じた十分な梱包を行い、輸送に耐えられる状態で出荷することが求められます。

2.輸送業者の責任

輸送業者(フォワーダーや船会社)が貨物を適切に取り扱わなかった場合、貨物の破損について責任を負うことになります。ただし、輸送契約の内容や貿易条件によって責任の範囲が異なるため、事前に契約内容を確認することが重要です。

3. 保険会社の対応

貨物保険に加入している場合、貨物の破損が補償の対象となることがあります。保険の適用範囲や免責事項を事前に確認し、必要な場合には追加の補償を検討することが推奨されます。

貨物破損を防ぐ為の対策

輸入者は、適切な梱包を指示し、破損リスクを最小限にすることが重要です。

サプライヤーへの梱包仕様の明確な指示をする

サプライヤーに対し以下の要望をしましょう!

  • ダンボールは二重構造(ダブルウォール)を使用
  • 緩衝材(発泡スチロール、エアバッグ、紙パッキングなど)を適切に使う
  • パレット梱包をすること。
耐久性のある梱包材を使用する

貨物の種類に応じて、耐久性の高い梱包材を選ぶことが重要です。例えば、段ボールではなく木箱や金属製のケースを使用することで強度を高めることができます。

緩衝材を活用する

発泡スチロールやエアクッションなどの緩衝材を使用することで、輸送中の衝撃を吸収し、貨物を保護することができます。

適切な固定方法を依頼する

コンテナ内で貨物が動かないように、パレットや固定用ベルトを活用することが重要です。適切な積み付け方法を採用し、貨物同士の接触を最小限に抑える工夫が求められます。

湿気対策をする

防湿シートや乾燥剤を使用し、コンテナ内の湿度をコントロールすることで、梱包材の劣化を防ぐことができます。

出荷前の検査をする

出荷前に梱包が適切に行われているかを確認するため、第三者検査機関によるチェックを依頼するのも有効です。検査レポートを取得し、梱包に問題がないことを確認してから出荷することで、破損リスクを減らせます。

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適切な貨物保険に加入する

万が一の破損に備え、貨物保険への加入を検討することも重要です。特に、精密機器や壊れやすい商品を輸入する場合、輸送中の破損を補償する保険を契約しておくことで、トラブル時の損害を最小限に抑えられます。

まとめ

不適切な梱包は、貨物破損の大きな要因となります。薄いダンボールの使用、緩衝材の不足、パレット梱包の欠如などは、輸送中の衝撃や荷重に耐えられず、トラブルを引き起こす原因となります。

輸入者は、サプライヤーに対して、梱包仕様の指示、出荷前検査の実施、貨物保険への加入といった対策を講じることで、リスクを小さくできます。

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