船積時の落下事故責任とは?国際輸送におけるリスクと対応策

国際輸送の船積み作業は、貨物を安全に目的地へ届けるための重要な作業です。しかし、積み込み時に貨物が落下する事故が発生すると、貨物の破損だけでなく、人身事故や遅延などの重大なトラブルにつながります。

万が一、トラブルが発生した際、その責任は誰にあるのか?

を理解しておくことは重要です。そこで、本記事では、船積み時の落下事故の責任の所在、リスクを回避するための対応策について詳しく解説します。

船積み時の落下事故の責任を解説

船積み時の落下事故とは?

船積み時の落下事故とは、貨物を船に積み込む際に、クレーンやフォークリフトなどの機材の使用中に貨物が落下する事故を指します。これは、コンテナ貨物、バルク貨物(袋詰め、ドラム缶など)、パレット貨物など、あらゆる形態の貨物で発生することがあります。

万が一、落下事故が発生すると、貨物の損傷だけでなく、積み込み作業員の負傷、船の設備の破損、輸送スケジュールの遅延などの影響が出ます。

責任の所在はどこにあるの?

落下事故の責任の所在は、事故の原因や契約内容によって異なります。一般的に、以下の関係者が関与しています。

1. 船会社(キャリア)

船会社は貨物の受託者として、適切な荷役作業を行う義務があります。ただし、落下事故が船会社の管理下で発生した場合でも、すべての責任を負うわけではありません。(貨物の積み降ろしに関する免責事項があります)

2. フォワーダー(貨物利用運送業者)

フォワーダーは輸出者や輸入者の代理として輸送を手配します。貨物のハンドリングや積み込みの手配をする立場にあるため、貨物の取り扱いに問題があれば、責任を問われる可能性があります。

3. ターミナルオペレーター(港湾業者)

港湾での積み込み作業を担当するターミナルオペレーターは、貨物の積み込み時の管理責任を負います。特に、クレーンやフォークリフトの操作ミスによる落下事故が発生した場合は、オペレーター側の過失として扱われることが多いです。

4. 荷主(輸出者または輸入者)

貨物を発送する荷主も、貨物の適切な梱包や固定を行う義務があります。不適切な梱包が原因で貨物が落下した場合、荷主側の責任が問われることがあります。

例えば、荷主の倉庫でバンニング後、コンテナターミナルに向かう際、道路上で事故を起こした場合などです。この場合は、以下の法律も関係してきます。

  • 道路交通法71条4号:積載物の転落防止
  • 道路交通法71条4号の2:転落物の除去
  • 道路交通法75条の10:高速道路での積載状態等の点検義務

責任の判断基準

責任の所在は、国際輸送契約の条項やインコタームズ(貿易条件)によっても影響を受けます。一般的に、以下のポイントが考慮されます。

  • 貨物の管理がどの時点で誰に移るのか?(FOB、CIF、EXWなど)
  • 積み込み作業が誰の管理下で行われていた?
  • 事故発生の直接的な原因がどこにある?(人的ミス、機材トラブル、梱包不良など)

落下事故を防ぐための対策

落下事故のリスクを少しでも小さくするには、以下の対策があります。

1.適切な梱包と貨物固定

貨物が輸送中に安定するように、強固な梱包を施し、輸送中の振動や衝撃に耐えられるようにします。特に重量物や高価な貨物は、クレートやパレットを使用し、固定具(ラッシングベルトやエアバッグなど)を活用すると良いでしょう。

2.貨物保険の加入

万が一の落下事故による損害に備え、貨物保険に加入することで、損害補填を受けられるようにすることが推奨されます。特に、高価な貨物や壊れやすい商品を輸送する場合は、適切な保険を検討することが重要です。

3.事前のリスクアセスメント

貨物の積み込み前に、作業環境や積み込み方法等に問題がないかを確認します。事前の打ち合わせやチェックリストの活用が効果的です。

例えば、重量や重心点を無視した詰め込み等をしていないか?などです。

まとめ

船積み時の落下事故は、貨物の破損や作業員の負傷、輸送スケジュールの遅延など、さまざまな影響を与えます。

責任の所在は、船会社、フォワーダー、ターミナルオペレーター、荷主のいずれにあるのかを契約内容や事故の原因に基づいて判断する必要があります。落下事故を防ぐためには、適切な梱包や貨物固定、作業の標準化、貨物保険の活用、リスクアセスメントの実施が重要です。

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