大型重機の海外輸送ガイド|ショベルカー・ダンプカーなどの国際輸送のポイント

日本から海外へ大型重機(ショベルカー、ダンプカーなど)を輸出する場合、適切な輸送方法の選択や通関手続きが必要です。特に重機はサイズが大きく、重量もあるため、一般的な貨物輸送とは異なる専門的な知識が求められます。

この記事では、具体的な重機の品目と輸送時の注意点を詳しく解説します。

大型重機の国際輸送で重要なこと

輸出対象となる大型重機の種類

大型重機にはさまざまな種類があり、輸送方法も異なります。以下は、海外で需要が高い主な輸出対象の重機です。

  • ショベルカー(油圧ショベル)
  • ブルドーザー
  • ダンプカー
  • クレーン(移動式・固定式)
  • フォークリフト(ディーゼル・電動)
  • ロードローラー(アスファルトコンパクター)
  • ホイールローダー
  • ミキサートラック(コンクリートミキサー車)
  • グレーダー(整地機)
  • パイルドライバー(杭打ち機)
  • バックホー(掘削機)
  • トレンチャー(溝掘機)

大型重機を扱う上での最重要事項

大型重機を国際輸送するときに最も気を付けることは、輸出貿易管理令です。輸出貿易管理令とは、その用途、相手先国等により、リストやキャッチオール規制などにより厳格に管理する仕組みです。

簡単にいうと、武器開発につながりやすいあらゆる製品の輸出を規制し、世界秩序を保つことを目的とするルールです。実は、重機も輸出貿易管理令に関係するため、必ず確認が必要です。

詳細は、経済産業省の安全保障貿易管理(輸出貿易管理)のページをご覧ください。知らずに輸出をすると、意図的でなくても最悪、逮捕されます。非常に厳しい規制の為、専門家に相談しましょう!

大型重機の国際輸送方法

大型重機を輸送は、以下、4つの方法があります。

1.RoRo(Roll-on/Roll-off)船輸送

RoRo船は、重機をそのまま走行させて積み込み・積み降ろしを行います。港湾設備が整った国向けの輸送に適しており、コスト面でも比較的安価です。

2.フラットラックコンテナ輸送

重機の一部を分解し、フラットラックコンテナ(底部のみのコンテナ)に固定して輸送する方法です。通常のコンテナよりも開放的な設計のため、超大型の重機も積載可能ですが、ラッシング(固定)作業が必要になります。

海上コンテナの種類・特徴・用途を解説 ドライ&フラットラック等

3.オープントップコンテナ輸送

高さのある重機を輸送する場合、天井のないオープントップコンテナを利用します。この方法は、フォークリフトなどの比較的コンパクトな重機に適しています。

4.分解輸送(CKD:Completely Knocked Down)

特に超大型の重機は、分解して輸送し、現地で再組み立てを行います。部品ごとに輸送することで、関税の優遇措置を受けられる場合もあります。

輸送時の梱包・固定方法

重機の輸送は、輸送中の安全性を確保するため、適切な梱包や固定が不可欠です。

ラッシング(固定)

  • 重機のタイヤやキャタピラをワイヤーやチェーンで固定し、輸送中の揺れや衝撃を防ぐ。
  • 貨物の重心がずれないよう、ウッドブロックやスチールフレームを使用

防錆・防汚対策

  • 塩害による錆びを防ぐ為、防錆スプレーや特殊コーティングをする
  • 可動部分にはグリスを塗布し、機械の劣化を防ぐ。

オイル漏れ防止

  • 液体燃料やオイルが残った状態では輸送ができないため、事前に抜き取る。
  • 配管部分には密封キャップを装着し、輸送中の漏れを防ぐ。

残存オイルをキレイに抜き取ります!

通関手続きと必要書類

輸出の際には、各国の通関規則を確認し、必要な書類を準備しましょう!

主要なHSコード

  • 8429.52.00(ショベルカー)
  • 8704.10.00(ダンプカー)
  • 8426.41.00(移動式クレーン)
  • 8427.10.00(フォークリフト)

必要な書類

  • インボイス(Commercial Invoice):商品の詳細、価格、取引条件を記載
  • パッキングリスト(Packing List):梱包内容と重量
  • B/L(船荷証券):貨物の所有権を証明する書類。
  • 輸出許可証(輸出規制のある国向け)
  • 原産地証明書(Certificate of Origin):関税優遇措置を利用する場合に必要。
  • 排ガス証明書(環境規制の厳しい国向け)

国際輸送時のトラブルと対策

大型重機の輸出のよくあるトラブルは、次の通りです。

輸送遅延

船のスケジュール変更や港湾混雑により遅延が発生することがあるため、納期に余裕を持たせるようにしましょう!

輸送中の損傷

ラッシングが不十分だと、輸送中に振動や衝撃で部品が破損するリスクがあるため、固定を徹底します。

通関トラブル

  • 必要書類の不備があると通関が遅れるため、事前にすべての書類を確認
  • 現地の輸入規制を事前にリサーチし、適合証明書を取得しておく。

輸出貿易管理令上の問題がないことを確認すること。輸入国側の規制をクリアできるように書類を準備することが非常に重要です。

非常に重要な点:輸出還付を必ず受けること

重機は、非常に高額なため、必ず輸出還付を受けるようにしましょう!

例えば、仕入れが3000万円(税込み3300万円)であれば、輸出をすることで、300万円分の消費税が還付されます。

単純に輸出ごとに10%が還付される~というわけではない為、注意しましょう!

まとめ

  • 大型重機の輸送方法は、RoRo船、フラットラックコンテナ、オープントップコンテナが主流。
  • ラッシングや防錆対策を徹底し、輸送中の安全を確保
  • 通関手続きには、インボイスやB/L、排ガス証明書などの書類が必要。
  • 納期遅延や損傷リスクを最小限に抑えるため、適切な輸送計画を立てる。
  • サプライヤーとの事前打ち合わせを行い、輸送に関する重要事項を確認

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