Invoiceの金額が違うと気づいたときの判断軸|修正すべきか、そのまま進めるか

Invoiceの金額が違うことに気づいたとき、まず落ち着いて確認したいこと

Invoiceの金額が合っていないことに気づくと、多くの人は「すぐ直さないといけない」と考えます。ですが、輸出入の現場では、金額そのものよりも「今どの段階か」「税金(関税・消費税など)に影響するか」「誰がこの書類で動いているか」の方が、判断に直結します。

Invoiceの金額違いは、実務では珍しくありません。問題になるのは、状況整理をしないまま動いて、通関が止まったり、後で税関・社内監査・税務の説明が難しくなることです。ここでは「正解を一つに決める」のではなく、選択肢ごとの帰結を示します。

最初に確認すべき3つのポイント

金額の違いに気づいたら、最初に次の3点を確認します。

一つ目は、手続きがどこまで進んでいるかです。通関前、通関中、通関後(輸入許可後)で、取れる手段と影響が変わります。

二つ目は、何が違っているのかです。数量、単価、合計金額のどれがズレているかで、原因の切り分けが変わります。

三つ目は、そのInvoiceを基に誰が動いているかです。フォワーダー、通関業者、社内(経理や決済担当)など、関係者を把握しておかないと、後で説明が割れます。

この3点を整理しないまま取引先に「修正してください」とだけ連絡すると、話がこじれやすくなります。

追加チェック:差額の「性質」を見極める(ミニチェックリスト)

次に、差額が実務上どれくらい重いかを判断するため、以下を確認します。

まず、納税額に影響するかどうかです。課税(関税・消費税など)が動く差額か、それとも税金が動かない差額かで、優先順位が変わります。

次に、実際より安く申告してしまっていないか(過少申告の方向)です。過少申告は後で修正が必要になる可能性が高く、放置のリスクが大きいです。税関の加算税制度(過少申告加算税)もあるため、対応判断は慎重に行います。(customs.go.jp)

反対に、実際より高く申告していないか(過大申告の方向)も確認します。過大申告は「税金を多く納めている」状態になり、還付を受けるための手続(更正の請求)が必要になることがあります。(customs.go.jp)

最後に、決済(送金)金額と整合するかです。送金額とInvoice金額がズレたままだと、後日の説明が難しくなることがあります。ここは、通関だけでなく社内の記録(経理・監査)の観点でも重要です。(一般論としての注意点です)

対応パターン①:Invoiceを修正してもらう場合(許可前・通関前寄り)

一つ目は、取引先に連絡し、修正したInvoiceを再発行してもらう方法です。

この対応で起きやすい結果は、通関が一時的に止まったり、修正理由の説明を求められることです。特に、修正内容が課税価格や品目情報に影響する場合は、確認が増えることがあります。

向いているケースは、通関前で、原因が明確(入力ミスなど)で、差額が大きい場合です。

注意点は「直したい」だけでは足りないことです。なぜ間違えたか、どこをどう直すか、関係者(フォワーダー・通関業者)と同じ理解にしてから進めないと、やり直しが発生しやすくなります。

対応パターン②:すぐに直さず進める場合(ただし条件付き)

二つ目は、通関や物流の都合で「いったんは止めずに進めたい」と考える場合です。ここは表現をはっきりさせます。

金額が違う状態のまま申告を進めると、輸入申告価格と実際の支払価格がズレた状態になります。ズレが課税に影響する場合は、関税法上のリスク(不適正申告と扱われ得る)を伴います。したがって「そのまま進めて後で説明すれば良い」という考え方は危険です。(customs.go.jp)

現実的に選ぶなら、次のどちらかを前提にします。

一つは、差額が税金に影響しない範囲であり、通関業者が問題ないと判断できるケースです(この判断は自社だけで決めない方が安全です)。

もう一つは、通関を進めるとしても「事後の手続で正す」ことを前提にするケースです。通関後に納税額が少なかったことに気づいた場合は修正申告、納税額が多かった場合は更正の請求という正式な手続が用意されています。(customs.go.jp)

このパターンを選ぶなら、必ず通関業者に「この差額のまま申告して問題ない範囲か」「事後にどの手続になるか」を事前に確認します。

対応パターン③:金額の違いを条件の違いとして整理する場合

三つ目は、差額が「入力ミス」ではなく、条件の認識違い(費用の含め方、負担区分など)から生じている可能性を検討する方法です。

例えば、運賃や保険料の扱い、条件の前提が取引先と揃っていないと、金額が合わないように見えます。この場合、修正Invoiceを出すかどうか以前に、「どの条件で合意しているか」を文章(契約書、発注書、見積、メール)で揃える作業が先になります。

注意点は、ここを曖昧にしたまま進めると、通関上の説明だけでなく、社内の決済・会計の整合が崩れることです。

フォワーダー(通関業者)へ相談するタイミング

このトラブルは、自社だけで判断して動くほど失敗しやすくなります。相談の目安は次の通りです。

通関前または通関中に気づいた場合は、最優先で通関業者に共有します。修正の要否だけでなく、「どの書類が差し替え対象になるか」「通関が止まるか」を含めて整理できます。

通関後に気づいた場合も、放置が一番危険です。修正申告や更正の請求は手続として存在するため、早い段階で相談して、必要書類と流れを確認する方が安全です。(customs.go.jp)

よくある失敗例

失敗は「対応手段」より「判断の順番」で起きます。

金額だけを見て反射的に修正依頼する、関係者に共有せずに進める、通関後に気づいて放置する。多くはこの3つです。

Invoiceの金額間違いで本当に問題になる点

Invoiceは単なる金額表ではありません。通関の資料であり、会計処理の根拠であり、取引記録でもあります。

そのため、金額が違っていた場合に本当に問われるのは、「なぜそうなったかを説明できるか」「記録として整合が取れているか」です。税関の制度上も、納税申告に誤りがあった場合の手続(修正申告・更正の請求)が用意されており、放置が一番リスクになります。(customs.go.jp)

まとめ:今の状況に合った対応を選ぶために

Invoiceの金額が違うと気づいたときは、まず次の3点を整理します。

  1. 今どの段階にいるのか。差額は税金に影響するのか。過少申告(不足)か過大申告(納め過ぎ)か。
  2. この整理ができれば、次に選ぶ道は明確になります。
  3. 通関前なら修正Invoiceで正す。通関後なら修正申告または更正の請求で正す。判断が難しいときは、通関業者に「差額のまま申告して良い範囲か」を先に確認する。

すぐ修正することだけが正解ではありません。ただし、放置は最も危険です。

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