貿易書類(B/L等の原本)の紛失トラブル 原因や対策を解説

貿易書類の紛失トラブルの原因と対策

貿易書類の原本を紛失するトラブル例

  • 船荷証券を紛失し貨物を引き取れなくなった。
  • 原産地証明書の原本を無くした。

紛失トラブルの原因

紛失トラブルの多くは「人為的なミス」によるものです。貿易書類を扱う担当者の意識が低いと、書類を紛失する可能性が高いです。(忙しさに忙殺されているなど) ちなみに、この担当者には、荷主側の担当者の他、通関業者の担当者も含まれます。

  • 人為的なミス
  • 書類の誤送付
  • 配送業者による紛失
  • オフィスでの保管不備
  • 自然災害や火災による書類の紛失
  • 書類の盗難

貿易は非常に多くの書類を扱う為、少しのミスが大きな損害につながります。特にB/Lや原産地証明書などの極めて重要な書類は、確実に保管、管理します。

紛失トラブルへの対策

紛失トラブルは、ヒューマンエラーが最も大きな原因です。よって、まずは、書類を取り扱う担当者への教育が重要です。その上で、仕組み的に紛失できないようにします。

例えば、外部会社(通関業者など)に書類を送る場合は、必ず二人以上で書類を確認するなどです。他、書類を電子的な保管することも紛失対策としては有効です。

原本がいる書類とそうでない書類とは?

貿易書類には原本を必要とする物とそうでない物があります。原本を必要とするのは、B/L(サレンダーは不要)、原産地証明書です。これら以外の書類(例:インボイス等)は、税関申告や貨物を引き取る上で原本は不要です。全てコピーで対応可能です。

なお、B/Lと原産地証明書の原本は、次のタイミングで必要です。

  • B/L原本=D/O引き換えのとき
  • 原産地証明書=税関申告のとき
原本を必要とする書類例 原本が不要な書類例
  • B/L(船荷証券)
  • 原産地証明書
  • インボイス
  • パッキングリスト
  • アライバルノーティス

書類の紛失を防ぐ為のコツ

船荷証券は、貨物と交換できる証書です。極めて重要であるため、その取扱いには十分に注意します。例えば、輸入者にEMS等で別送するさいは、必ずコピーした後、送付する。また、事後、発送したことを証明できるように発送に関する書類も保管しておくなどです。

原本を紛失した場合の対応方法

B/L(船荷証券)の紛失

非常に厄介です。ケースによっては滞船料も請求されます。B/Lは、貨物の所有権、預けた証拠、受け取った証拠書類です。紛失すると、関係する全ての人に多大な迷惑をかけます。

場合によっては、裁判所の命令、銀行による補償状(バンクL/G)も必要です。実際に紛失した場合は、次の手順により問題を解決していくことが多いです。

  1. フォワーダー(船会社)へ通知する。
  2. B/L複製のリクエストをする。
  3. 銀行の補償状を提出する(バンクL/G)
  4. 必要な場合は弁護士に依頼する。

原産地証明書の紛失

原産地証明書は、輸出国側が発行し、輸入者が受け取り利用します。もし、輸入者であるあなたが原産地証明書を紛失すると、輸出者に多大な迷惑がかかります。輸出者は、原産地証明書を紛失したことを通知の上、再発行の手続きをしなければならないです。当然、時間がかかります。

原産地証明書を紛失した場合の2つの対応方法

既述の通り、原産地証明書の再発行には時間がかかります。仮に港から引き取る日数が一週間以上になれば、それだけでデマレッジなどが請求されます。非常に無駄な費用を支払うことになります。

原産地証明書を紛失した上で、貨物の引き取りを行いたい場合は、次の2つの方法があります。

  1. 通常申告をする。(納税する輸入申告)
  2. 輸入許可前引き取り承認を受ける。

通常申告をすれば、貨物は引き取れます。但し、この場合は、輸入許可後に免税等の扱いを受けられないです。許可を受けた時点で納税額が確定します。

2つ目は、輸入許可前引き取り承認です。この仕組みを使い通関をして、原産地証明書が届いたら、税関に差し入れます。これで先行して貨物を引き取りつつ、後から免税や減税の恩恵を受けられます。なお、輸入許可前引き取り承認を受ける場合は、納税額に相当する担保の差し入れが必要です。

輸入品の引き取り時(納品時)に覚えておくべき6つの注意点

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