コンテナ輸送にも関わらず、FOB(インコタームズ)を選ぶ方は多いです。実は、それ!大きな間違いです。特に輸出者としてコンテナ輸送をする際は、気を付けましょう!
この記事では、コンテナ輸送でFOBを選んではならない理由を解説していきます。
コンテナ輸送とFOB
コンテナ輸送とは、20フィートや40フィートのコンテナに積めて貨物を運ぶ方法です。そして、FOBとは、インコタームズの一種です。
2024年現在、インコタームズは2020年が最新です。全体で11ある一つがFOBです。この記事では、コンテナ輸送をする前提で、FOBを採用することの危険性を説明しています。
インコタームズは、当事者間が合意するもの
冒頭の通り、インコタームズは、11パターンあります。これは、貿易の型とも言われており、売り手と買い手の責任範囲や費用負担の範囲を定義しています。そして、売り手と買い手は、以下の11からたった一つの物を選びます。(合意する)
- EXW (Ex Works) – 工場渡し
- FCA (Free Carrier) – 運送人渡し
- FAS (Free Alongside Ship) – 本船横持込み渡し
- FOB (Free On Board) – 本船渡し
- CFR (Cost and Freight) – 運賃込み条件
- CIF (Cost, Insurance and Freight) – 運賃・保険料込み条件
- CPT (Carriage Paid To) – 輸送費込み条件
- (Carriage and Insurance Paid To) – 輸送費・保険料込み条件
- DAP (Delivered At Place) – 仕向地持込み渡し
- DPU (Delivered at Place Unloaded) – 荷卸込持込み渡し
- DDP (Delivered Duty Paid) – 関税込持込み渡し
売り手と買い手は、いずれか一つのインコタームズを採用することに同意することで、それぞれの責任範囲を明確にできるメリットがあります。
FOB(本船渡し)
上記の内、FOBとは、本船甲板渡しといいます。これは、まだコンテナ船が誕生する前、在来船での運航を前提とする貿易条件です。
売り手は、本船の甲板に積み込む前の費用と危険を負担します。買い手は、本船甲板に積み込んだ後の全ての費用と危険負担を行います。(国際輸送費、海上保険代金、その後の通関代金など)
ポイントは、売り手と買い手の責任範囲が本船の甲板できり変わることです。
本船上で切り替わることが問題
実は、この記事で問題とするのは、本船で責任が切り替わることです。再度、申し上げると、売主(輸出者)の責任範囲は、本船甲板に積み込むまでです。逆にいいますと、それよりも”以前に”ある費用と危険負担は、全て売り手が負担することを意味します。
FOBは、本船甲板に積み込む以前の部分は、売り手が負担する
大地震や津波、台風によりヤードが壊れてしまったら?
仮のお話として、コンテナヤードにコンテナを保管している時点で、大地震や津波、台風等によりコンテナに大きな損害は発生した際は、誰の責任になるのでしょうか? もうお分かりですね!売主、つまり、輸出者が責任を取ることになります。
コンテナ輸送の場合は、本船のターミナルにて輸送人(本船の荷役作業をする方)にコンテナを引き渡します。その後、売り手としては一切、コンテナにさわらないです。であるにも関わらず、コンテナの引き渡し後もそのまま売り手の責任と費用負担は、本船の甲板に載せるまで継続します。
- 売り手が手配するドレー会社がヤードまでコンテナを移動する
- ドレー会社は、荷役作業者にコンテナを引き渡す。
- 荷役作業者は、コンテナターミナルの指定場所まで移動する。
- コンテナは、コンテナターミナル内で保管される。
- 輸出許可後、コンテナは、本船に積み込まれる。
インコタームズがFOBの場合は、1~5までを売り手が責任を負います。万が一、4の時点で、コンテナに大きな損害が発生した場合は、売り手が責任を取ります。
コンテナ輸送の適切なインコタームズとは?
では、コンテナ輸送における適切なインコタームズは何になるのでしょうか?
例えば…..
- 輸出であるならFCA
- 輸入であるならCIP
と言われています。つまり、これはあなたの立場により変わります。もし、輸出者ならFCAになるように交渉をします。輸入者ならCIPになるように頑張ります。インコタームズは、両者の合意により決まる為、ある種のせめぎあいがあります。
昔からの慣習、会社の先輩からの教えなどは、全てが正しいとは考えないことです。インコタームズを理解すると、決してコンテナ輸送でFOBを選ばないはずです。今一度、インコタームズが定義する責任範囲、費用負担範囲を理解し、輸送形態に応じた適切なインコタームズを選びましょう!