化粧品やスキンケア製品の国際輸送は、成分規制や輸送環境の影響を受けるため、慎重な取り扱いが必要です。特に小規模事業者が輸入・輸出する際には、適切な輸送方法の選択、梱包基準、通関手続きに関する知識が求められます。
この記事では、化粧品やスキンケア製品の国際輸送のポイントを解説します。
化粧品・スキンケア製品の国際輸送
化粧品・スキンケア製品の輸送方法
化粧品の輸送では、製品の特性に応じた適切な方法を選びます。
1.航空輸送
航空輸送は、リードタイムが短いため、品質を維持しやすいです。ただし、アルコール(24度以下)を含む香水やスプレー製品は危険物扱いとなるため、要注意です。
2.海上輸送
海上輸送は、大量の化粧品を低コストで輸送します。温度管理が難しいため、紫外線や高温の影響を受けやすい製品は、遮光梱包や保冷コンテナを活用します。
3.クーリエや国際郵便
クーリエ(DHL、FedEx、UPSなど)や国際郵便は、比較的、小口の輸送に適しています。また、ドア配送が基本となる為、他の輸送手段よりも簡単で費用負担が小さく、小規模の輸入に向いています。特にEC事業者や個人輸入者向きです。但し、輸送コストが高くなる点に注意が必要です。
化粧品・スキンケア製品の適切な梱包基準
化粧品は液体やクリーム状のものが多く、不適切な梱包は、破損につながります。以下のポイントを押さえて、輸送時のリスクを軽減しましょう。
ガラス瓶製品
ガラス瓶に入った製品は、輸送中の衝撃で割れやすいため、エアクッションや緩衝材を用いて厳重に保護します。
液漏れに注意
液漏れを防ぐために、ボトルのキャップ部分にシールをし、密封性を高めます。
チューブ製品やプラスチック製品
チューブやプラスチック容器を使用する製品では、外箱に圧力がかかると変形することがあるため、製品間に仕切りを設けて緩衝材で保護します。
高温や湿気の影響を受けやすい製品
高温や湿気の影響を受ける製品には、アルミ蒸着フィルムやバリアフィルムを使用し、品質の劣化を防ぎます。
化粧品・スキンケア製品の通関手続きと必要書類
化粧品の輸入には、各国の規制を遵守し、必要な書類を準備します。日本に輸入する際には、以下の書類が求められます。
実際の所、日本へ化粧品類を輸入する際は、化粧品製造販売業の許可が必要になる為、輸入のハードルは非常に高いです。
インボイス
インボイス(Commercial Invoice)には、商品の詳細や価格を記載します。
パッキングリスト
パッキングリスト(Packing List)には、梱包内容を記載します。
成分分析表(INCIリスト)
成分分析表(INCIリスト)は、輸入国の規制に適合していることを証する書類です。日本では、化粧品の成分が薬機法に適合しているか?を確認します。
MSDS(安全データシート)
MSDS(安全データシート)は、アルコールやエアゾール製品など、特定の成分を含む化粧品の輸送時に求められます。
国際輸送時のトラブルと対策
化粧品の国際輸送で発生しやすいトラブルは、次の通りです。
通関トラブル
成分規制違反やラベル表示の不備によって発生することが多いです。事前に輸入国の規制を確認し、必要な書類を正しく準備することが重要です。日本の場合は、輸入時に化粧品製造販売業の許可が必要です。ご自身で許可を取得するか、すでに許可を持っている人の名義で輸入するか?のどちらかです。
いずれにしろ、輸入のハードルは非常に厳しいため、十分な準備が必要です。化粧品の輸入は、化粧品の輸入完全ガイドをご覧下さい。
品質劣化トラブル
輸送中の品質変化を防ぐために、化粧品の温度・湿度管理を徹底し、必要に応じて保冷輸送を利用します。特に夏場の輸送では、高温による品質劣化が深刻です。
サプライヤーとの打ち合わせで確認すべきポイント
輸送トラブルや通関トラブルを避ける為、海外のサプライヤーとは、事前に念入りに打ち合わせすることをお勧めします。
- 梱包仕様の確認:適切な梱包方法?輸送中の破損リスクは?
- 輸送条件の合意:温度管理の必要性、危険物の取り扱い?
- 必要書類の準備:インボイス、パッキングリスト、成分分析表(INCIリスト)など、輸入通関で必要になる書類の取り寄せ
- 納期スケジュールの調整:余裕を持ったスケジュールを設定
- 輸送保険の適用範囲:適切な保険に加入しているかを確認する
まとめ
- 化粧品の輸送には、製品の特性に応じた方法を選ぶ
- 適切な梱包を施し、輸送中の破損や液漏れを防ぐ
- 通関手続きには、必要書類を事前に準備し、規制違反を防ぐ
- 輸送時のトラブル(通関拒否、品質劣化、遅延)の対策
- 経験豊富なフォワーダーを選び、安全かつ確実な輸送を実現する
- サプライヤーと事前に打ち合わせを行い、梱包仕様、輸送条件、書類準備、納期管理を徹底する
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