コンテナ貨物を輸出するときは、様々な書類が必要です。適切な書類を準備しなければ、通関手続きの遅れや貨物の輸送トラブルが発生することがあります。
この記事では、コンテナ貨物の輸出に必要な書類について解説していきます。
コンテナ輸出×必要書類
コンテナの輸出に必要な書類
輸出に必要な書類は、輸出国や貨物の種類、取引条件によって異なります。ここでは、一般的なケースを想定した必要書類をご紹介します。
通関委任状(初回のみ) *必要
初めて通関業者に依頼するときに提出します。「通関業務を○○という通関業者に依頼します!」と伝える書類です。通関業者がフォーマット(書類)を持っているので、取り寄せて必要事項を記入し、通関業者に提出します。
インボイス(Invoice) *必要
- 作成者: 輸出者
- 使用ツール: エクセル、貿易管理ソフト(TradeShift、SAP、Free Invoice Maker など)
インボイスとは、輸出者が輸入者に対して発行する請求書です。インボイスには、以下の情報を明記します。
- 輸出者・輸入者の情報
- 貨物の詳細(品名、数量、単価、総額など)
- 貿易条件(FOB、CIFなど)
- 決済条件(支払い方法)
- 船積み情報(船名、出港日など)
インボイスの内容に誤りがあると、通関手続きが滞るため、正確に作成することが求められます。なお、取引相手かアンダーバリュー(本来の価格よりも安く記載すること)を要求してきてら拒否をしましょう!

最近は、電子インボイスをも増えています!
パッキングリスト(Packing List)*必須
- 作成者: 輸出者
- 使用ツール: エクセル、貿易管理ソフト(TradeShift、SAP など)
重量の計測方法
- 小口貨物(カートン単位):デジタルスケールを使用して計測
- パレット積み貨物:フォークリフト搭載の重量計や倉庫内の大型スケールを利用
- コンテナ単位の貨物は、トラックスケールを使用。
パッキングリストは、貨物の梱包内容を記載する書類です。コンテナ貨物の輸送では、貨物の積み付け状態を明確にするために非常に重要です。
パッキングリストには、以下の情報を記載します。
- 各梱包の内容(品名、数量、重量、梱包形態)
- 総重量および容積
- 梱包材の種類(木箱、カートン、パレットなど)

税関検査が必要な場合、この書類をもとに確認が行われます。
船荷証券(B/L: Bill of Lading)
- 作成者: 船会社またはフォワーダー
- 発行者: 船会社
船荷証券(B/L)は、輸出者が貨物を船会社に引き渡したことを証明する書類であり、輸送契約の証拠となります。
B/Lには以下の情報が記載されます。
- 輸出者、輸入者、船会社の情報
- 貨物の詳細(品名、数量、重量)
- 船名、出港地、目的地
- 貿易条件(FOB、CIFなど)
B/Lは貨物の受け渡しに必要な重要書類であり、正確に作成する必要があります。
原産地証明書
日本とEPAを締結している国に商品を輸出する時、あるいは、特定の国に対して、特定の品目を輸出する際、日本の原産品であることを証明する「原産地証明書」が必要です。
なお、原産地証明書には、2種類あります。一つは、商工会議所が発行する原産地証明書。もう一つは、日本商工会議所が発行する特定原産地証明書です。
2025年2月現在 | |
発効済(利用できる国) | シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12、TPP11、日EU・EPA、米国、英国、RCEP(韓国+中国+アセアン+オーストラリアなど) |
交渉中 | トルコ、コロンビア、GCC、日中韓 |
その他(交渉中断等) | カナダ、韓国 |
輸出許可証・通関関連書類
- 作成者: 輸出者、フォワーダー、通関業者
- 発行者:税関
特定の貨物(食品、医薬品、化学品など)を輸出する際には、輸出許可証や特別な通関関連書類が必要になることがあります。
例えば、日本では経済産業省の輸出許可が必要な品目があります。
関連知識:輸出貿易管理令
保険証券(Insurance Policy)
- 作成者: 保険会社
- 発行者: 保険会社
貨物を輸送中に発生するリスク(損傷、盗難、紛失など)に備えるために、輸送保険に加入することが一般的です。保険証券は、貨物がどの範囲まで補償されるか?を示す書類です。

CIF(Cost, Insurance, and Freight)条件で取引を行う場合、輸出者が保険を手配します!
シッピングインストラクション(Shipping Instruction)
- 作成者: 輸出者
- 提出先: フォワーダー、船会社
シッピングインストラクション(SI)は、船会社やフォワーダーに対して輸送手続きを依頼するための書類です。貨物の詳細や輸送条件を記載し、適切な運送契約を確定させる役割を持ちます。
商品説明資料(Product Specification)
作成者: 輸出者
輸出する商品について、技術仕様や成分、用途などを詳細に記載した資料です。食品や化学製品、機械類など、輸入国での通関時に求められる場合があります。
船荷証券(B/L: Bill of Lading)
- 作成者: 船会社またはフォワーダー
- 発行者: 船会社(フォワーダー)
船荷証券(B/L)は、輸出者が貨物を船会社に引き渡したことを証明する書類であり、輸送契約の証拠となります。
非該当証明書(Certificate of Non-Applicability)
- 作成者: 輸出者
- 発行者: 経済産業省(必要な場合)
輸出貿易管理令の対象品を輸出するときに必要な書類です。軍事転用可能な貨物やデュアルユース品(軍民両用技術)などを扱う場合に求められることがあります。
書類作成のポイントと注意点
1. 一貫した情報を記載する
インボイス、パッキングリスト、B/Lの情報が一致していることが重要です。特に、貨物の数量、金額、貿易条件など。
2. 貿易条件を正しく理解する
FOB、CIF、EXWなどの貿易条件によって、誰が輸送費や保険料を負担するのか?が異なります。貿易条件を正しく理解し、書類に適切に記載しましょう。
3. 書類の正確性を確認する
書類の誤記や記入漏れは、輸送の遅延や追加費用の発生につながる可能性があります。提出前にダブルチェックを行い、正確な情報を記載しましょう。
4. 各国の規制を確認する
輸出先の国によっては、特定の書類が追加で必要になることがあります。たとえば、原産地証明書(Certificate of Origin)や、検疫証明書(Health Certificate)などが求められる場合があります。
まとめ
コンテナ貨物を輸出する際には、インボイス、パッキングリスト、船荷証券(B/L)などの書類を正確に作成し、貿易条件や輸送ルールをしっかりと理解することが重要です。また、貨物の種類や輸出先の規制によっては、追加の書類が求められることがあるため、事前に確認しておきましょう。
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