コンテナ輸送で必要な書類:輸出入の手続きをスムーズに進める!

コンテナ輸送を利用する際には、正確な書類の準備が不可欠です。この記事では、コンテナ輸送に必要な書類について、各書類の役割や準備方法を詳しく解説していきます。

コンテナ輸送で必要な書類

コンテナ輸送で必要書類は、輸出者(売り手)が用意する。

大前提として、輸出と輸入は同じ書類を使います。基本は、輸出者がインボイス等の書類を作成し、輸入者に送ります。輸入者は、貿易書類(輸出者作成)を税関に提出して、税関審査を受けます。

  • 書類は、輸出者(売り手)が作成する
  • 輸入側の申告は、輸出者が作成した書類を使う。

まずは上記2点を覚えておきましょう!その上で、輸入側では、売り手が作成した書類の他、輸入者自らが補足資料を用意することもあります。

必要な書類

以下が輸出時(輸入時)に必要な書類です。

  1. コマーシャルインボイス(commercial invoice)
  2. パッキングリスト(Packing List)
  3. 船荷証券・B/L
  4. 保険証券(Insurance Certificate)
  5. 原産地証明証明書(Certificate of Origin)

1.コマーシャルインボイス(commercial invoice)

インボイスとは、貨物の価格を証明する書類です。何を?いくらで?誰が?誰に対して売却したのか?などが記載されています。インボイスに記載する金額は、輸入側の税関申告時の価格となるため、嘘偽りがないように記載します。

例えば、前回の取引における不良分を考えて少し割引をしているなら、その割引額も記載します。他、化粧箱やダンボール等、説明書などを無償提供している場合もその旨を記載します。インボイスの価格に関係する全ての事情を書面に記載することが重要です。

よくあるミスが資材等を日本から無償で提供し、海外で製品化した物を再び日本に輸入する場合です。この場合は、日本からの資材分が計上されていない為、評価漏れが発生します。また、売り手が良かれと思ってやったアンダーバリュー行為も完全に脱税行為に該当するため注意しましょう!

  • インボイス価格の形成に関係するあらゆる事情を記載します。(割引をしているなど)
  • 脱税行為は、犯罪です。商品ごとに適切な価格を記載してもらいます。

なお、インボイスには、コマーシャルインボイスの他、プロフォーマインボイス(仮のインボイス)もあります。発行するべき書類は、コマーシャルインボイスなので注意します。(輸入通関では、プロフォーマインボイスは不可)

書類の作成者:売り手

2.パッキングリスト(Packing List)

パッキングリストとは、何の貨物を? どこのカートンに? 何個ずつ入れているのか? を記載する書類です。コンテナの中に入れている全ての貨物を記載することが重要です。

例えば、空のダンボールや化粧箱を多めに入れている。説明書を入れているなどです。特に空のダンボールは、税関検査で問題になることが多いです。コンテナの中に入れる物は、全て記載します。

書類の作成者:売り手

インボイスやパッキングリストは、エクセル等の定型テンプレートを使うか、オンラインで作成できるサイトを利用する方法があります。ご自身で使いやすいサイトを使いましょう!

3.船荷証券・B/L

船荷証券は、別称「B/L」とも言います。船会社(フォワーダー)が発行し、輸入国側で引き換える証券として利用します。具体的には、次の流れで入手します。

  1. 売り手が輸出国側のターミナルに貨物を預ける。
  2. 船会社(フォワーダー)は、B/Lを発行する。
  3. 売り手は、B/Lを受け取る
  4. 売り手は、買い手から入金を確認でき次第、B/Lの原本をEMS等で送る。
  5. 買い手は、輸入国側で3のB/Lの原本を差し出して貨物を引き取る

これが標準的な流れです。B/Lは、輸入国側で貨物を受け取るために重要な書類です。紛失等の事故が起きないように十分に注意します。なお、3番のプロセスでB/Lを受け取らず、そのまま差し戻すと、サレンダーB/Lになります。

書類の発行者:フォワーダー

サレンダーB/Lになると、輸入国側では、B/Lの原本は不要です。

4.保険証券(Insurance Certificate)

保険証券とは、海上保険(マリン保険)の事です。主に海上輸送途上における各種事故が発生した際、その損害額を補償するものです。海上保険の付保義務は、インコタームズによります。

例えば、CIPの場合は、売り手が保険を付保します。FCAの場合は、買い手が保険を付保します。採用するインコタームズの条件を確認することが重要です。

また、保険には、個別取引毎にかける物の他、ある一定期間を包括的にかけられる物もあります。保険金額は、貨物の価格に対して何パーセント?などの料率が決まっています。さほど高くはない為、貨物リスクを避ける意味でも付保しておくと良いと思います。

海上保険は、直接、海上保険会社に申しこめる他、取引する通関業者経由で付保することもできます。いずれの方法で申し込みをして、かけ忘れが発生しないようにしましょう!

書類の発行者:保険会社

5.原産地証明証明書(Certificate of Origin)

原産地証明書は、貨物の原産国を証する書類です。この書類は、輸入国側でEPA税率(関税の削減又は低減)の恩恵を受けるときに重要です。

原産地証明書は、輸出国側で発行し、輸入国側に郵送することが一般的です。(貨物とは別の便)

例えば、日本から輸出する場合は、次の手順で原産地証明書(例:特定原産地)を取得します。

日本から輸出する場合の原産地証明書の取得プロセス
  1. 日本商工会議所に企業登録をする。
  2. 日本商工会議所に原産品の登録申請をする。(各種資料を作成&提出)
  3. 日本商工会議所の担当者による審査
  4. 何度かの質問を受ける。
  5. 審査完了
  6. 発給申請をする。
  7. 特定原産地証明書を受け取る。
  8. 買い手に特定原産地証明書を送る

1番から5番までの流れは、予想以上に時間がかかります。輸出取引が決まったら、速やかに原産地証明書の取得を試みてみましょう!

書類の発行者:日本商工会議所(特定原産地証明書)又は商工会議所(普通の原産地氏証明書)

輸入時に必要な書類

輸入時に必要な書類は、上記の輸出国側から届く書類に加えて以下の物があります。なお、輸入時に必要な書類とは、輸入国側の港で使う書類や税関申告で使う書類です。

  • 商品の補足資料(説明資料)
  • アライバルノーティス(D/O処理)
  • 通関委任状
  • 契約書(ライセンスを確認できる書類)

商品の補足資料(説明資料)

商品の補足資料とは、輸入予定の商品を説明する資料を指します。どのような貨物を輸入しようとしているのか? 材質や用途は何か?などが税関職員でも理解できるように説明する資料です。

ポイントは、商品知識がない方でも資料を読むだけで商品を理解できるようにすることです。資料の内容や形式は問いません。完全に自由です。輸入商品は、HSコードを基準に判断されます。

HSコードとは、数字と品目を一対にした品目表です。(世界共通)このコードに対して、細かく税率を設定している為、貨物がどこのHSコードに該当するのかが重要です。

例えば、貨物内容を間違って認識し、通常よりも低い税率の所で申告をすると、最悪、過少申告加算税等のペナルティを受けます。商品説明書は、輸入商品のHSコードや税率を決める上で重要な役割があります。

書類の作成者:輸出者又は輸入者

アライバルノーティス

アライバルノーティスは、本船が港に到着することを知らせる書類です。貿易取引では「A/N」と表記されることも多いです。アライバルノーティスには、本船の入港地、貨物の保税地、貨物のリリースに関する代理店情報、貨物を引き取る為の諸費用が記載されています。

輸入者(貨物の買い手)は、アライバルノーティスに記載されている代金を支払うことで、D/O(貨物のリリース通知書)を受け取り、貨物を引き取れる仕組みです。

アライバルノーティスの発行者:船会社(フォワーダー)

通関委任状

通関委任状とは、輸入貨物に関する通関業務を通関業者に依頼する際、最初に提出する書類です。通関委任状は、通関業者ごとにフォーマットがあります。新規取引開設の際に受け取ることが多い為、忘れずに提出しましょう!

契約書(ライセンスを確認できる書類)

契約書は、売り手側又は買い手側との取引があることを証する書類です。但し、輸入時に必要ではないです。税関の求めがあった場合は、契約書を提出し権利関係を証明します。これは、いわゆるブランド品や商標権関係の商品を輸入するときに特に関係しています。

例えば、世界的に有名なキャラクターの権利を有するA。そのAとライセンス契約をする中国のB工場。そのB工場から日本に輸入して販売するC。この三者がいるとしましょう!

税関は、この三者が必ず一枚の契約書におさまっていること。又は、書類と書類がつながっていることを求めてきます。これは、商標権を侵害し、違法に製造した物を輸入していない事を確認する目的があります。

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書類の作成者:売り手、買い手、ライセンス所持者など

書類の準備と管理

輸出入(貿易取引)をする場合は、指定期間(日本では7年間)、その書類を保管する義務があります。税関は、ある年数や一定期間後に事後調査を行い、正確な貿易取引が行われていることを確認します。これは、税務署の税務調査とは別の物ですから十分に気を付けます。

参考:諸外国の保管期間例

  • カナダ 6年間
  • アメリカ、EU、オーストラリア、シンガポール 5年間
  • 中国 3年間

書類の保管方法

書類は、輸出毎、輸入毎を一件としてまとめて保管しておくと良いです。

書類一式保管の例
  • 輸入許可書
  • インボイス
  • パッキングリスト
  • B/L
  • アライバルノーティス
  • 説明資料

これを一件分としてまとめておきます。他、何らかの方法で電子化して、クラウド等で保管、いつでも検索できるようにしている所もあります。万が一、火災等が発生しても資料等が紛失しないように対策を考えておくことが重要です。

税関からの求めがあった場合にすぐに見つけられるようにしておきます。

書類に関する注意点とアドバイス

輸入申告後、あとから書類上の不備を見つけた場合は、自ら申告内容を修正もできます。(修正申告) 又は、納め過ぎた税金がある場合は、その旨を伝えることもできます。(更生の請求)

又、税関職員の見解に対して納得ができない場合は「再調査の請求」又は行政不服審査法に基づく「審査請求」等も認められています。

重要なことは、輸入品目に応じて適切な諸税を納めていること。正しく申告をして必要な法令を守る事です。正しい申告&納税をして、末永く貿易ビジネスができるようにしましょう!

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